THE TOKYO ART BOOK FAIRが始まった。
私はそこで自分の写真集にサインをするように言われ、会場の椅子に腰掛けていた。
しかし。
そこにはおびただしい数の写真集、情報、そして人々の群れがあった。
私はそれらを見続けた。
見た。
見た。
見た。
そして見ることに疲れ果て、体調を崩してしまった。
やっとのことで部屋に帰り、燭台のロウソクに灯をともして乳香を焚いた。
その中で目をつぶり、やっと見ることから逃れることができた。
しばらくはこうして、見ることから逃れていたいと思う。